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2016年3月10日木曜日

リスク

現在携わっている進行中の案件。
その多くが「走りながら考える」・・・いや正確に言うと「まず導入・稼働してからその後考える」というモノになっています。

ひとつは販売管理をシステム化したいという案件。
もうひとつは社内の書類管理・業務の管理・顧客管理を一元化したいという案件。

どちらの場合にも共通するのは

  • 顧客企業は小さな会社だということ
  • 社長以下スタッフの皆さんは決してITリテラシーが高いわけではないということ
  • 社内での「分業」はなく、ある意味全員が全員全ての仕事に携わっているということ
これ現在僕が関わっているこの2社に限らず、地方の小さな会社・小さなお店なら殆どの場合共通していることじゃないでしょうか?

特に小さな会社では社長をはじめとしてほとんどの従業員さんがいろんな仕事を同時にいくつも抱えて、目一杯で働いていることがほとんどです。
そんな状況の中、IT活用・IT経営を進めたいということになったら、多分大きな会社から依頼されるそれとは全く異なるだろう制約がいくつか・・・

企業側から期限やゴールが示されることはまずあり得ない

「やりたいこと」「目標とする姿」「いつまでに」というおぼろげな青写真は社長さんの頭のなかに描かれているはずです、もちろん。
けれどもそれを十分な時間をかけて外部の僕らみたいな支援者・専門家に説明する時間なんか、小さな会社の社長さんにはないんですよね、当然。(コレがあるという経営者はよっぽどの暇人か、自社の経営に全力を注力しなくても困らない立場の方だと思う)
だから「オレの考えてること、その道のプロなんだから一を聞いて十まで分かってよね」という事が求められます。

もちろん支援側の僕らはそれを十分に推察して、社長の考えを整理して表現し、実現するためにきちんと記録を取り手順を踏む必要がある。

十分な準備検討期間は与えられない

小さな会社のIT活用やIT経営は短期決戦。2年も3年もの期間をかけて導入準備を周到に進めるなんてことは許されません。(それは大きな会社でも同じことかもしれませんが)
当然機能や仕様、導入後の変更や拡張などまで全部確認した上で、なんてことを悠長にやっている時間はまずあり得ない。

だから殆どの場合、まず「システムなどを導入・稼働して目の前の喫緊の課題をクリアする」ことが最優先になります。その上なおかつ導入後に「アレをこうしたい、ここをああしたい」という要求にも答えなければならない。

予算・リソースはもちろん足りない

いろんな制約や条件がある上に導入後の見通しも曖昧という状態であるにもかかわらず、予算はもちろん足りないし、お金以外のリソースももちろん十分揃っていない。
そんな中で要求を実現しなければならないので、当然ハードルは当初の想定よりも、取り組めば取り組むほどどんどん高くなっていきます。

と、こんな風に制約やリスクだらけの状態でIT活用・IT経営へ向けて取り組まなければならないのが小さな会社・お店を相手にするITコーディネータの仕事環境です。

そういう中で何が必要かって、僕の経験からこれだけは絶対必要というものが3つある。
  • 小さな会社での実務の経験(顧客企業と同じ業種業界でなくてもいいから、とにかくコンサルタント・ITコーディネータとしてではなく、建設業なり小売業なりサービス業なり、本当に実務に携わって色んな体験や課題解決をした経験)
  • 導入するシステムやソフトウェアに対する実戦経験
  • 顧客となる企業に対する深い理解
小さな会社での実務経験がなくては、ナマの問題意識を理解できません。
また、セールスフォースでもGoogleAppsでもサイボウズでも、あるいは勘定奉行でも弥生会計でも、使ってカスタマイズをした経験がなければ、走りながら様々な要求に対応することはもちろん出来ません。使ったこともないのに提案なんていうのは、要件定義がキッチリできる大きな会社を相手にしている場合だけでしょう。小さな会社は要件定義そのものが無い場合が多いのだから。
また、顧客となる企業が何を目論んでいて、けれども何が足かせとなっているのか、システム的なことや業務フローのようなことだけでなく、人間関係・起業から今までの経緯など様々な理解が必要になります。

そして実は最も重要な事がもうひとつ。

小さな会社や小さなお店のIT活用や経営支援を本気でやって、それで本気で儲けようというのであれば、自らリスクを取って取り組むという覚悟と姿勢が必要です。場合によっては一蓮托生で負債を負いかねないという場合でも進んで手を組む必要だってあります。

独立系ITコーディネータで仕事をするってことは、「会社の後ろ盾で仕事ができるサラリーマン」とは違うんだから、そういうリスクを負えなければ、今もこれからも成果は掴めない、と僕は思っています。


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